まず、ギターワイヤレスシステムとは何か?についてまとめる。
ワイヤレスというその名の通りケーブルが不要なシステムである。
このシステムは送信機(トランスミッター)と受信機(レシーバー)で構築されている。
見た目はタバコの箱と同じくらいの大きさで、色は黒などのシンプルなデザインが多い。
それにケーブルと同じ 6.3mmのプラグがついている。
使用方法はギターのジャックに送信機を挿し、アンプなどの機材に受信機を挿すだけなのでとても簡単。
ギターに挿した送信機から機材に接続されている受信機へと音を電波に変換して伝えるという仕組みである。
なのでギターから出る音をアンプなどの機材に伝える、という役割自体はケーブルとは全く変わらない。
ここまででギターワイヤレスシステムとは何か?が明らかになったのではないだろうか。
ここからはよくある疑問について挙げていく。
よくある疑問
音痩せはしないのか?音痩せするイメージを持っている人も少なくないだろう。
しかし他人が聞いてわかるようなレベルの劣化はないといえる。
もしあったとしたら弾いている本人だけ微妙な変化を感じ取ってしまうか、波形でみたらやっとわかるくらいのものである。
音は遅延しないのか?物理的に弾いてから音が出力されるまでに遅延が発生する。
これはワイヤレスシステムの特徴として、電波で音を伝えていることに由来する。
しかし聴いてもわからない程度の遅延に過ぎないものがほとんどなので、そこまで過敏になる必要もないだろう。
これらの疑問を踏まえると、音に関してはケーブルとそこまで差はないように思える。
しかし前述したように、役割は変わらないとは言え音を伝える方法自体は異なる。
なのでそれぞれメリット、デメリットがある。
ここからはそのメリット、デメリットをまとめつつ具体的にケーブルとの比較をしていく。
メリット 1
そもそもケーブルが無いので抜ける心配がない。
演奏中に絡まったり踏んだりしてプラグが抜けてしまい、音が出なくなってしまうことを防げる。
もしバンドでライブをしていたとしたら、ここぞ!というソロで前に出ようとしたが思ったよりケーブルが短くて抜けてしまったという経験がある人も少なくないのではないだろうか。
1 番盛り上がる直前のところで抜けてしまったら...と想像すらしたくないだろう。
メリット 2
ステージを自由に動くことが出来るのでパフォーマンスや演奏に集中できる。
前述したプラグ抜けの心配がないのはもちろん、常にそれを意識しなくていいのはそれだけで演奏に集中できるだろう。
ワイヤレスシステムの接続さえ外れることが無ければどんなに暴れても平気なのはかなり大きいことなのではないだろうか。
ベースと立ち位置を入れ替えたり走り回ったり、はたまた客席に降りたりとケーブルでは怖くて出来ないパフォーマンスができる。
メリット 3
ケーブルの買い替えが必要なくなる。
ワイヤレスシステムは正しい使用方法さえ守っていれば、電池交換や充電で繰り返し使えるのでかなり寿命が長いと言える。
それに対してケーブルは普通に使っていてもいずれは壊れるし常に断線のリスクもある。
安いものは安いがこだわると高いのでお気に入りのケーブルが高価な場合その費用は馬鹿にならないだろう。
これがワイヤレスシステムだと不要になるのはかなりお得感があるのではないだろうか。
メリット 4
かさばらないので持ち運びや準備がとても楽。
言ってしまえばポケットに入れても持ち運びが可能。
準備もそれぞれ挿すくらいなので面倒なことは1つもない。ケーブルだと演奏する環境にもよるが、楽器と機材を接続するとなればそれなりの長さが必要でかさばりがち。
さらに移動中にも断線のリスクがある。
演奏中はもちろんだが移動中にもそれを気にしないといけないのはかなりストレスであることは間違いない。
それから取り出して伸ばして繋げて...と準備も面倒である。片付けの時も然り。
このように持ち運びと準備が楽なだけで相当ストレスが軽減されるのではないだろうか。
メリット 5
意外と安い。一昔前は今よりもかなり高価で一般人が手を出し辛いものも少なくなかった。
しかし最近は低価格ながらもより高品質な製品の開発が進んでいる。
例として某大手の楽器通販サイトでランキング上位常連のワイヤレスを例に挙げてみる。
このギターワイヤレスシステムは Xvive というメーカーの U2 という製品で、価格は税込 1 万円以内ともはやエ
フェクターよりも安いような値段のものが出ている。
安すぎるのではないか?と不安になる人も少なくないかもしれないのでこの製品のレビューを調べてみた。
後発品も含めて約90 件ほどのレビューがあるが、5 点満点中で平均 4.5 以上と怪しいものではないのがわかる。これだとレビューの良さが価格や性能を担保しているので安心して手が出せるに違いない。
ここまでメリットを5つ挙げた。
こうしてみるとかなり魅力的に感じるのではないだろう
か?もし高そう...難しそう...といった印象を持っていたとしてもそれを吹き飛ばすくらいのメリットが詰まっている。
しかしちゃんとデメリットもあるのでここからはデメリットを挙げていく。
デメリット 1
ケーブルに対して高費用。
低価格高品質を両立させているものが多くなってきているとはいえ、それなりの物を求めると 1 万円は超えてくる。
有名な BOSS や LINE 6、ゼンハイザーは 3 万円前後なので、ちょっと試しに買ってみようかな...と安易に手は出しづらいだろう。
1 万円でケーブルを買おうと思ったらかなりいいものが手に入る。
なんなら予備にもう1 本買えるかもしれない。
よく聞く OYAIDE PROVIDENCE MONSTER でも 5 千円以内で手に入る。
ケーブル 1 本とワイヤレスシステム単体の価格を比べるのも何だが数字を並べてみると高費用なのは否めないだろう。
デメリット 2
製品によって異なるが充電式、電池式がある。
それぞれ充電、電池交換が必要なので面倒に感じてしまうことがあるだろう。
例えばちょっとスタジオへ個人練習...だとそんなに困ることはない。
しかしリハもやってライブもやって...となると、途中で電池が切れることは許されない。
これでは演奏に身が入らないのではないだろうか。
移動中でも不安は拭いきれない。常に残量を気にし続けることが強いられる。
なので目的によっては容量に余裕のあるも
のを用意する必要がある。又はこまめな電池交換や、予備の準備が必要。面倒くさがりな人には向かないかもしれない。
デメリット 3
電波に依存している為、一定の周波数を持つ電波が干渉してしまうと音が途切れる原因になり得る。
ワイヤレスシステムには 2.4GHz 帯と B 帯という周波数が使われることが多い。
2.4GHz 帯は WiFi や Bluetooth、PC からの干渉を受けやすい。また遮蔽物にも弱い。
ケータイなどの電子機器が多い、遮蔽物が複数あるような環境には向かないと言える。
B 帯は電波にも遮蔽物にも強いが、2.4GHz 帯よりも音質が劣る。という様に特徴がそれぞれある。
自分が使用する環境、目的によって使い分ける必要があるといえる。
デメリット 4
通信範囲に限界がある。音の途切れやそもそも音が出ない原因になり得る。
なので使用の用途によってそれに合った通信範囲のスペックを選ぶ必要がある。
自宅練習やスタジオ練習ならばそんなに気にする必要はないかもしれない。
しかしライブをする箱の大きさによっては余裕のある通信範囲のものを選ぶ必要がある。もし通信範囲に余裕のあるものが必要ならば、それなりの出費は惜しめないといえる。
まとめ
ここまでケーブルとの比較をしながらギターワイヤレスシステムのメリット、デメリットをまとめた。
自分が使用する環境、用途、目的に応じて選び方は変わってくるだろうが、もし導入を迷っていたとしたら購入してみてもいいかもしれない。
どちらか一方だけしか使えないというわけではないので併用するという選択も大いに有りなのではないだろうか。
もしメリットに魅力を感じているなら、システムの導入によってより良い演奏ができることは間違いない。