音楽の授業などで耳にしたことがある『カデンツ』とは一体どんなものでしょうか?
初心者の方でもわかるようにまとめました。
カデンツとは
音楽の中の文法のこと。ケーデンスとも呼ばれています。
文法使うの?って思われた方、正解です。
そう、普段私たちが使っている日本語の組み立てと一緒なんです。
日本語は、単語と接続詞などを駆使して文章を作っていますよね。
音楽も同じで、メロディ・リズム・和音などを組み合わせて文章を作ります。
その時の文法は、音楽では和音進行のことで、これを『カデンツ』と呼びます。
カデンツは曲の中で自然な流れになるよう作らています。
自然な流れとは何か?と思われるかもしれませんが、
例えば、日本語で
「おじいさん は 山 へ 芝刈り に 行きました」 という文章があったとします。
これは自然な流れですね。
では適当に並び替えてみます。
「行きました は 山 に 芝刈り おじいさん へ」
こう並び替えるとどうでしょう?
全く何も伝わらない文章になってしまいました。
上の例からみてわかるように、私たちは普段から、何を伝えたいかが明確にわかるように文法を使いますね。
音楽も同じで、何を伝えたいかが明確にわかるようにするためにカデンツを使います。
ではカデンツの具体的な内容を紐解いていきましょう。
和音の機能
カデンツは「和音進行」と冒頭でお伝えしたように、「和音」がキーポイントです。
和音単体にもそれぞれ3つの機能があります。
・Tonic(トニック)
安定の要素を持った機能。平坦です。
・Dominant(ドミナント)
不安定の要素を持った機能。バランスが悪いので、早くトニックに戻りたくなる和音です。
・Subdominant(サブドミナント)
一時的に不安定の要素を持った機能。トニックから少しだけ変化した?と感じる和音です。
カデンツは複数の調にまたがって作られるものではなく、同じ調の中で作られ、その中の和音それぞれにトニックとかドミナントとかサブドミナントの機能が割り当てられています。
ハ長調で説明します。
ハ長調は、ドレミファソラシド の調ですよね。
和音の基本は3度ずつの重なりなので、ハ長調には、
ドを始めとする和音 ▶︎ ドミソ Ⅰの和音
レを始めとする和音 ▶︎ レファラ Ⅱの和音
ミを始めとする和音 ▶︎ ミソシ Ⅲの和音
ファを始めとする和音 ▶︎ ファラド Ⅳの和音
ソを始めとする和音 ▶︎ ソシレ Ⅴの和音
ラを始めとする和音 ▶︎ ラドミ Ⅵの和音
シを始めとする和音 ▶︎ シレファ Ⅶの和音
という和音が存在します。このうちの、
トニックは、
Ⅰの和音 と Ⅵの和音 です。
ドミナントは、
Ⅴの和音と Ⅶの和音 です。(Ⅴ7というものもここに入ります。)
サブドミナントは、
Ⅱの和音と Ⅳの和音 です。
カデンツの型
カデンツはこれらの機能の組み合わせで、決まった形があります。
ここでは、オーソドックスな3つをご紹介します。
カデンツ1型: トニック → ドミナント → トニック
カデンツ2型: トニック → サブドミナント → ドミナント → トニック
カデンツ3型: トニック → ドミナント → トニック
3つのパターンどれも、トニック で始まり、 トニック で終わります。
カデンツ1
トニック → ドミナント → トニック
和音記号で書くと、下記のようになります。
・Ⅰ→Ⅴ7→Ⅰ
・Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ
・Ⅰ→Ⅶ→Ⅰ
小学校で授業が始まる時に「起立・気をつけ、礼」の時に、
先生がオルガンで弾いてくれてませんでしたか?
起立 ⇨ ドミソ(Ⅰ)
気をつけ ⇨ ソシレ(Ⅴ)
礼 ⇨ ドミソ(Ⅰ)
実はこれはカデンツでした。
カデンツ2
トニック → サブドミナント → ドミナント → トニック
和音記号で書くと、下記のようになります。
Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ7→Ⅰ
Ⅰ→Ⅱ→V7→Ⅰ
童謡の『鯉のぼり』みなさんご存知ですか?
「やねよ〜り〜た〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜」
この次の、
「おおき〜い〜(Ⅰ) まごい〜は〜(Ⅳ) おとう〜さ〜(V) ん〜(Ⅰ)
が、カデンツ2に当てはまります。
カデンツ3
和音記号で書くと、下記のようになります。
Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ
Ⅰ→Ⅱ→Ⅰ
七夕によく歌われる「きらきら星」の最初はカデンツ3に当てはまります。
「きらきら(Ⅰ)ひか(Ⅳ)る〜(Ⅰ)」
いきなり出てきましたね。
カデンツ3は曲が始まる最初の方で使われることが多いのが特徴です。