みなさんは、和音とはどんなものかわかりますか?
「和音って音楽の授業で何となく習った気がするけど、実際よくわからない」
「音がいくつか重なってるっていうのはわかるんだけど、法則とかあるのかな?」
音楽について専門的に勉強してきた人以外は、上記のような認識の方も多いと思います。
「旋律(メロディ)」「律動(リズム)」と並んで音楽3大要素である「和音(ハーモニー)」は、音楽を創り上げる中でとても重要です。
そんな和音の中でも特に基本になる「3和音」について、初心者でもわかりやすいように解説していきます。
3和音とは
「和音」とは、高さが異なる複数のピッチクラスの楽音が同時に響く音のことを指します。
その中で、3つのピッチクラスからなる和音のことを「3和音」と呼びます。
たとえば、「ド」と「ミ」と「ソ」を同時にピアノで鳴らしたとすると、それが3和音となるのです。
また、もし音が7つ8つ同時に鳴っていたとしても、オクターブ違いで「ド」が3つ、「ミ」が2つ、「ソ」が3つ鳴っていれば、それも3和音と呼びます。
そのため高さの異なる「ピッチクラス」と表現しています。
今回は、オクターブ違いのことは考えず、単純に3つの音として3和音を解説していきます。
3和音の中で一番重要な音「根音」
みなさんは「根音」という言葉を知っていますか?
「根音」とは、和音を構成する基礎となる音のことを指します。
基礎となる音と言っても何のことかわからないかもしれません。
そこで、3和音の大まかな構成について見ていきましょう。
3和音というのは、基本的には、根音を1度とすると、3度、5度にあたる音で構成されます。
この3度とか5度って何?と思う方もいるかもしれません。
たとえば「ド」を根音とすると、1つ音階が上がった「レ」を2度、さらに1つ音階が上がった「ミ」を3度と呼びます。
つまり、大まかにいえば、1度を「ド」とした場合、3度は「ミ」、5度は「ソ」となります。
そのため、基本的には、「ド」を根音としたとき、「ド・ミ・ソ」が3和音になるのです。
ただし、音階は「ミ」から「ファ」、「シ」から「ド」が半音になっているなど単純ではありません。
そのため、3和音に関しても、この3度、5度の位置づけを半音ずつずらすことによって、種類の異なる3和音になるのです。
3和音のコードの種類に関しては後述します。
話は戻りますが、つまり、根音というのは、3和音において1度にあたる部分のことを指すのです。
臨時記号を抜きに考えると、「ド・ミ・ソ」の和音なら「ド」、「レ・ファ・ラ」の和音なら「レ」、「ソ・シ・レ」の和音なら「ソ」というように根音を見つけることができます。
仮に並びが「シ・レ・ソ」となっていても、「シ」を根音とすると「ソ」は6度の音になってしまうので、根音は「シ」ではなく、「ソ」となるのです。
3和音のコードの種類
先程、「ド」を根音としたとき、基本的には「ド・ミ・ソ」が3和音になると述べました。
しかし、実際には3和音には4種類あって、「ド」を根音にしたときの「ド・ミ・ソ」は長3和音に分類されます。
長3和音を含めて、3和音には以下の4つの種類があります。
- 長3和音
- 短3和音
- 増3和音
- 減3和音
では、それぞれの和音の構成音について詳しく見ていきましょう。
3度・5度の種類
それぞれの種類の3和音を説明する前に、予備知識として必要な3度・5度の種類について説明します。
先程述べた通り、「ミ」から「ファ」と「シ」から「ド」は半音になっているため、そこをまたぐ場合とまたがない場合で、音の幅が違ってきます。
半音ごとの音の幅で考えると、「ド」と「ミ」は4音差、「ミ」と「ソ」は3音差となります。
このように考えたとき、根音から半音単位で4音高い音、つまり「ミ」を「長3度」と呼び、根音から半音単位で3音高い音「ミ♭」を「短3度」と呼びます。
5度に関しては、長短の定義はなく、「ド」から半音単位で7音高い音、つまり「ソ」を「完全5度」と呼び、6音高い音「ファ#」は「減5度」、8音高い音は「増5度」と呼びます。
これらの「長3度」、「短3度」、「完全5度」、「減5度」、「増5度」の構成によって、3和音は4つの種類に分けられるのです。
長3和音
長3和音は、根音の説明で「ド・ミ・ソ」の和音を例として挙げたように、最も一般的な3和音です。
ポピュラー音楽ではメジャー・コードと呼ばれます。
根音と、根音の長3度、完全5度の音で構成されます。
明るめの響きの和音になります。
それぞれの音を根音としたときの構成音、コードの呼び方は以下になります。
- ド → ド・ミ・ソ : Cコード
- ド# →ド#・ファ・ソ#: C#コード
- レ → レ・ファ#・ラ: Dコード
- レ# →レ#・ソ・ラ# : D#コード
- ミ → ミ・ソ#・シ : Eコード
- ファ→ ファ・ラ・ド : Fコード
- ファ#→ファ#・ラ#・ド#: F#コード
- ソ → ソ・シ・レ : Gコード
- ソ# →ソ#・ド・レ# : G#コード
- ラ → ラ・ド#・ミ : Aコード
- ラ# →ラ#・レ・ファ : A#コード
- シ → シ・レ#・ファ#: Bコード
短3和音
短3和音は、長3和音に次いでよく使われる3和音です。
ポピュラー音楽ではマイナー・コードと呼ばれます。
根音と、根音の短3度、完全5度の音で構成されます。
暗めの響きの和音になります。
それぞれの音を根音としたときの構成音、コードの呼び方は以下になります。
- ド → ド・ミ♭・ソ : Cmコード
- ド# →ド#・ミ・ソ# : C#mコード
- レ → レ・ファ・ラ : Dmコード
- レ# →レ#・ファ#・ラ#: D#mコード
- ミ → ミ・ソ・シ : Emコード
- ファ→ ファ・ラ♭・ド: Fmコード
- ファ#→ファ#・ラ・ド#: F#mコード
- ソ → ソ・シ♭・レ : Gmコード
- ソ# →ソ#・シ・レ# : G#mコード
- ラ → ラ・ド・ミ : Amコード
- ラ# →ラ#・ド#・ファ: A#mコード
- シ → シ・レ・ファ# : Bmコード
増3和音
増3和音は、メジャー・コードに変化をつけるときに使われる3和音です。
ポピュラー音楽ではオーグメント(またはオーギュメント)と呼ばれます。
根音と、根音の長3度、増5度の音で構成されます。
不安定で落ち着かない響きの和音になります。
使われ方としては、Cコード(ド・ミ・ソ)→Amコード(ド・ミ・ラ)というようにコードが遷移する際に、
間にCaug(ド・ミ・ソ#)を挟むというのが挙げられます。
これによって、Cにおける第5音にあたる部分が半音ずつ上がっていくため、気持ちの高ぶりを表現したりすることができます。
それぞれの音を根音としたときの構成音、コードの呼び方は以下になります。
- ド → ド・ミ・ソ# : Caugコード
- ド# →ド#・ファ・ラ : C#augコード
- レ → レ・ファ#・ラ#: Daugコード
- レ# →レ#・ソ・シ : D#augコード
- ミ → ミ・ソ#・ド : Eaugコード
- ファ→ ファ・ラ・ド#: Faugコード
- ファ#→ファ#・ラ#・レ: F#augコード
- ソ → ソ・シ・レ# : Gaugコード
- ソ# →ソ#・ド・ミ : G#augコード
- ラ → ラ・ド#・ファ: Aaugコード
- ラ# →ラ#・レ・ファ#: A#augコード
- シ → シ・レ#・ソ : Baugコード
減3和音
減3和音は、マイナー・コードに変化をつけるときに使われる3和音です。
ポピュラー音楽では、ディミニッシュまたはマイナー・フラット・フィフスと呼ばれます。
根音と、根音の短3度、減5度の音で構成されます。
暗めの響きのマイナー・コードにさらにアクセントが加わり、怪しげで不穏な響きの和音になります。
それぞれの音を根音としたときの構成音、コードの呼び方は以下になります。
- ド → ド・ミ♭・ソ♭: Cdim(またはCm-5)コード
- ド# → ド#・ミ・ソ : C#dim(またはC#m-5)コード
- レ → レ・ファ・ラ♭: Ddim(またはDm-5)コード
- レ# →レ#・ファ#・ラ: D#dim(またはD#m-5)コード
- ミ → ミ・ソ・シ♭ : Edim(またはEm-5)コード
- ファ→ ファ・ラ♭・シ: Fdim(またはFm-5)コード
- ファ#→ファ#・ラ・ド : F#dim(またはF#m-5)コード
- ソ → ソ・シ♭・レ♭: Gdim(またはGm-5)コード
- ソ# → ソ#・シ・レ : G#dim(またはG#m-5)コード
- ラ → ラ・ド・ミ♭ : Adim(またはAm-5)コード
- ラ# →ラ#・ド#・ミ : A#dim(またはA#m-5)コード
- シ → シ・レ・ファ : Bdim(またはBm-5)コード
まとめ ~三和音はコードの基本~
3和音について、少し理解ができましたでしょうか?
この記事で解説してきた中でポイントとなる部分は以下になります。
- 3和音とは、高さが異なる3つのピッチクラスの楽音が同時に響く音
- 3和音は、根音と3度、5度の音で構成されていて、3度と5度の音の違いによって種類分けされる
- 基本の3和音は、長3和音と、短3和音で、増3和音と減3和音は変化をつけるときに使用される
まずはこの3和音をしっかり理解して、そのうえで余裕ができたら4和音についても学習していきましょう!