-きっかけは不純でした-
私がピアノ教室に通い始めたのは、3歳になるときでした。
きっかけは、3つ上の兄がサッカークラブに入会したから、という『お兄ちゃんずるい』という不純な動機でした……。
母も幼少期にピアノを習っていたので、じゃあ下の子はピアノでも……ということで、ピアノを習い始めました。
『絶対音感』能力の取得
人間は産まれてから大体3歳頃までは視力が弱く、聴覚に頼って生活をしています。
つまり、視力が弱い3歳頃までは耳で聴いた音に対しての反応力が格段に良いのです。
その後、聴覚の発達は7,8歳頃までで落ち着いてしまいます。そのため、2,3歳~7,8歳頃までに、音感訓練を行う必要があります。
不純な動機で、3歳の時にピアノに触れた私は、『絶対音感』能力を取得することが出来たのです!
この『絶対音感』、簡単に説明すると日常にある音がピアノの鍵盤12個の内、どの音なのか、という事の判別が出来るという能力です。
有名な『のだめカンタービレ』に出てくる主人公、のだめが持っているアレです。
例えば、コップ同士がぶつかった音はシ、玩具のホイッスルの音はドミソの和音、京浜急行電鉄2100型1000型の発車音はドレミファソラシド~♪など、音楽面でも日常面でも大活躍間違いなし!の能力です。
楽譜の読み方を取得
音に対する能力の次は、楽譜の読み方です。そうです、いわゆる五本線の上にいるオタマジャクシ達です。
実際、小学生になる前のピアノ教室は、前述した『絶対音感』取得、音やリズムに対しての反応力を高めるレッスンになることが多くなります。
曲を弾く、といってもせいぜい〈カエルの歌〉や〈チューリップ〉等の片手で弾ける、指一本で弾けるといった曲が中心です。
しかしこれがとても大事になります。聴いたことがある音が、五本線の上にオタマジャクシとして存在しているのです。
どこにいるオタマジャクシが、どの音になるのか、どういうリズムなのか、という理解をする上でも重要になってきます。
小学生になって、音楽の教科書を開いたときに「あれ?この楽譜読めるぞ!」となっているのです。
楽譜の書き方を学ぶ
楽譜の読み方、ときたら今度は自分が楽譜を書く番です。小学校に上がったくらいから、
レッスンの終わりに毎回毎回簡単な楽譜を先生がノートに書いてくれます。
次週までにそれを書き写してくることが宿題になっていました。言葉や記号の意味も併せて覚え始めます。
小学生からピアノを始めるとなると、前述した音やリズムへの反応力を高めるレッスンと並行して、練習曲などをこなさなければならなくなります。さらに楽譜の書き方が追加されます。
1回のレッスンが20~30分で設定をするお教室が多いので、レッスンスケジュール的には、かなり詰め込みになってしまいます。
その点、3歳頃からピアノを始めると下積みが出来上がっているので、レッスンにもゆとりが出てきます。
-音楽大学を受験すると決めたとき-
高校3年生の進路希望調査1回目の時、私は音大進学を希望しませんでした。
中学2年生の時に吹奏楽部との両立が出来ず、また3歳から面倒を見ていてくれたピアノ教室の先生とそりが合わなくなってしまっため、ゆるーくレッスンをしてくれるピアノ教室へと変更していたのです。
当時は本当にクラシックピアノが嫌いで、J-POPやジャズピアノ、先生の趣味のオルガンを弾かせてもらっていました。
その後、最後の進路希望の時に思うところがあり、音大への進学を希望しました。
ここで役に立ったのが、幼い時から行ってきた訓練の成果です。音楽大学試験は、基本的に実技試験になります。
大学にもよりますが
・専門楽器の指定曲から1,2曲を演奏する試験
・ピアノ以外の専門楽器にする場合は、副科ピアノとしての演奏試験
・その日に渡された楽譜を読み、その場で歌う試験
・試験官がピアノで弾いた曲を楽譜におこす試験
大体はこの3つの試験になることが多いです。
一つ目の専門楽器の指定曲から演奏する、2つ目の副科ピアノの演奏試験という試験は、
指定されたいくつかの曲から練習、若しくは自信がある曲を練習していけば良いので、そこまで難しくはありません。
問題は3つ目、4つ目の試験です。どちらも、試験時にならないとわからない試験内容です。頼りになるのは、自分自身の譜読み力と耳だけです。
もちろん、その2つには大いに自信がありました。なぜならば、3歳から音に触れて耳を鍛え、自分の耳を確固たるモノにしてきたのですから。
過剰に自信を持ちすぎることはよくありませんが、自信を持たなくてはこの先やってはいけません。
音楽大学は自分に自信を持つ人種しか入学してきません。「私なんか……」という自信が無い人は、入学できても4年間で潰れてしまいます。
-3歳からピアノ教室に通って-
ここまで、ピアノ教室に通って身に付けられたことをお話ししました。
音楽大学を目指すには、音楽の基礎知識はもちろんの事、耳が良いということも大事になります。
ピアノ以外の楽器は、チューニング(音合わせ)が必須になりますし、その度にチューナーという機械を使う訳にもいきません。
自分の感覚で合わせざるを得ない時もあります。
私の母は私をピアノ教室へ通わせたその時から、音大へ進学させる、という考えを持っていたわけではありませんでした。
そのため、音大受験のための準備期間は実質3か月程でした。
最初から音大へ進路を希望している子たちは高校1年生から、下手すれば中学生から試験対策のための音楽理論などの勉強を始めています。
私はそれを始めることが遅かったのです。
しかし、3歳からピアノ教室へ通い身に着けた絶対音感や楽譜に対しての読み書きの基礎、音楽基礎は私にとって最大の強みでした。
元々ある知識をベースにして、試験用の応用をくっつける、そんな勉強をしました。
よかったと思うこと
単純に良かったこと、と言ってしまうと、小さい頃から始めたほうが有利、という簡単なことしか出てきません。
しかし、早くから始めることで、沢山の曲や作曲家と出会い、知識と能力を身に付ける時間が長くなります。
それは、私のように一度くらいピアノが嫌いになってしまっても、再度音大を目指そうと思える自信にも繋がります。
また、ピアノ教室で発表会もあるので、人前で何かする、という事に対しての度胸もつきます。
音大の試験は前述したとおり、実技試験です。入学試験なのに大学所有のホールで試験官がずらっといる……なんてこともあります。
私は試験なのに、楽しくなってしまいました……。度胸が付きすぎていたんでしょうね。
最初は、お遊び程度で良いと思います。最初から詰め込んでしまうと、それしか無くなってしまうので、
ピアノって楽しいんだよー生活の中にも沢山の音があるねー、くらいが丁度いいです。
誰もが知っている有名な曲を弾きたい、という事は、後回しで良いのです。まずは楽しく音楽能力の訓練をする、これが一番大事なのです。
改めて、よかったこと、と言うと、沢山の音楽能力・基礎能力が取得できた、という事が大きいと思っています。
基礎がしっかりと出来ていたため、試験対策時間が短くても合格出来ましたし、在学中の授業や試験でも大いに役立ちました。
日常生活では、沢山の音が溢れています。その音で遊んで、将来の基礎を作ることが出来たのです。
音大に進学しなくても問題ないと思います。音楽は様々な世界を魅せてくれます。
まずは、3歳からピアノで音遊びをさせてみませんか?