ギター

スカイ・ギターとは

エレキギターを始めたあなたが、今後必ず一度は耳にするであろう「スカイ・ギター(Sky Guitar)」。

簡単に言ってしまえば、超有名ギタリストがこだわりぬいて考案したギタリストによるギタリストのための「ハイクオリティかつアーティスティックな限定生産のお宝ギター」といったところでしょうか。

 

今回は、この人々をワクワクさせる「スカイ・ギター」についてご紹介させていただきます。

なかなか一般人には手が出せない市場価格100万円を超える代物ですが、このギターの制作ストーリーを知ればきっとあなたも「スカイ・ギター」の魅力がわかると思います。

 

「仙人」の異名をもつギタリスト「ウリ・ジョン・ロート」

「スカイ・ギター」の生みの親、それが「ウリ・ジョン・ロート(Uli Jon Roth)」です。現在もギタリストとして活躍中のウリ。彼の半生をかんたんにまとめてみました。

 

1954年ドイツ生まれ。14歳でギターに目覚め、コピーバンドで活動を開始。15歳のとき、ジミ・ヘンドリックスのライブに衝撃を受け、トリオ編成のバンド「ドーン・ロード」を結成。

 

1973年一度解散したスコーピオンズの再結成に協力する形でメンバー入り。アルバム『フライ・トゥ・ザ・レインボウ』では、19歳という若さで驚異的なギターテクニックを披露しファンを魅了。

 

1978年ウリはスコーピオンズを脱退。その後、ヘビーメタルバンド「エレクトリック・サン」を結成します。

 

そして来たる1983年、ウリ自ら考案した「スカイ・ギター」第1号が完成しました。

 

ちなみに日本で「仙人」と呼ばれる理由ですが、白髪の長い髪と口髭という浮世離れした風貌が仙人のように見えるからだそうです。またウリは、ロック音楽だけでなく、クラシック音楽、哲学、宇宙、東洋文化に興味をもっていました。そういう彼の様々な感性が、その独特な世界観を作り上げているのかもしれません。そんな彼が生み出したのが「スカイ・ギター」なのです。

 

バイオリンのような高音をエレキギターに求めて

通常エレキギターは21フレット仕様が基本です。ウリは、もともとフェンダー社のストラトキャスターのギターを使っていました。

しかし、彼は高音への強いこだわりをもっており、クラシック音楽のバイオリンのような高音を出したいという想いが強くありました。

通常のエレキギターの21フレットの音域では満足できない。

それならば、フレットを増やしてしまおう。23フレットに。そうして生まれた第1号の23フレットギターはさらに進化を遂げ、現在では32フレットに到達。「スカイ・ギター」は通常のギターよりも1オクターブ高い音域まで出せる究極のギターとなりました。

 

 

「スカイ・ギター」の特徴とその魅力

ウリの信頼を得た職人によって一本ずつ創り出される芸術作品

1983年ウリが考案した第一号スカイギターを製作したのは職人アンディ・デミトリオ。

現在は、職人ボリス・ドメンジェがその製作を一手に任されています。ウリは、工場による商業的な生産を選ばず、芸術作品としてその一本一本を信頼している職人の手によってつくり上げるスタイルを貫いています。

そのため、数量限定でプレミア価格がつくというのも納得です。

 

究極の音質は芸術のように

最高傑作の音質を求めたウリは、スカイギターを考案するに至る過程で、フェンダー社のストラトキャスターとギブソン社のレスポールの素晴らしさを芸術作品に例えています。

 

フェンダー社のストラトキャスターの音色は、男性的で鉛筆画のように硬質で繊細、そしてブルーな色合い。芸術家に例えると、ミケランジェロ。弾き心地も良い。

 

それに対して、ギブソン社のレスポールの音色は、女性的で油彩画のように温かみのある茶色や金色の色合い。芸術家に例えると、レンブラント。弾く作業は決して楽しいものではないと述べています。

 

スカイ・ギターはストラトとレスポールの両者の長所を兼ね備えたギターとして生まれました。スカイ・ギターを芸術家に例えるならば、レオナルド・ダ・ヴィンチだそうです。あらゆる芸術を最上級の形で表現するものとしてウリの魂が込められた芸術作品ということが分かります。

 

創意工夫のフレット

まず「フレット」とは、ネック部分の指板状に撃ち込まれた棒状の金属パーツのことをいいます。弦を押し付けることで音程を作り出す働きをしています。

 

ストラトキャスターには21個のフレット、レスポールは22個のフレットがあります。このフレット数が多いほど高音域の音を出すことができます。

 

現在のスカイギターには32個のフレットがあり、通常のギターよりも1オクターブ高い音域まで出すことができます。高音域になるほどフレットが狭くなりふつうの指の太さでは弾くのが非常に厳しいために、スカイギターの超高音域部分はフレットが半音ずつではなく、全音刻みの並びに工夫されている。その間の半音については、隣の弦によって補ったり、またはチョーキングによってカバーしたりすることで対処することができます。

 

また、最新の改良では、指板のポジション・マークにブルーのLEDライトが付いています。これはウリ本人の視力低下によって暗いステージ上でポジションが見えにくいことがあるため、同じ悩みを抱えているギタリストへの配慮として取り付けられたようです。

 

多弦で新たな音域へ挑戦

まず「弦」とは、ギターのボディに張られている太さのちがう6本の糸のことをいいます。弦の太さは音の高さと関係があり、弦は太いほど低い音、細いほど高い音を出します。

 

初期のスカイギターは6弦でしたが、その後7弦のモデル、8弦ギターのモデルも開発されています。クラシック音楽のバイオリンのような高音域を求めてフレット数を増やすだけに止まらず、ウリはさらに、チェロの音域に挑戦したかったといわれています。エレキギター1本でどこまでも音の可能性を探るその探究心には本当に驚かされますね。

 

ウリと職人しか知り得ない秘密のピックアップ構造

まず「ピックアップ」とは、弦の振動を電気に変える装置で、弦の真下のボディに埋め込まれているパーツのことをいいます。その重要性から「エレキギターの心臓」ともいわれます。

スカイギターには、「メガウィング」と呼ばれる独自のピックアップ構造が取り付けられています。

フェンダー社のストラトキャスターでは「シングルコイル」、ギブソン社のレスポールでは「ハムバッカー」のピックアップが取り付けられていますが、スカイギターはそのどちらでもなく、コイルが4層になった特殊なものを採用しています。

そのピックアップ構造の開発者はウリの友人だそうですが、技術的なことは明かさない方針で謎多き「メガウィング・ピックアップ・システム」としてその存在を唯一無二にしています。

 

ピックアップの装置を動かすシステムには2種類あります。伝統的なアナログな仕組みの「パッシヴ」と、電池を利用して装置を動かす「アクティヴ」といいます。

そのちがいの説明はここでは割愛させていただきますが、このスカイギターでは、ノイズを軽減するアクティヴとしてもパッシヴとしても稼動します。

 

ボディのデザイン

独特でありながら美しい無駄のないシンプルな曲線美はさすがとしかいいようがありません。

「パリのルーヴル美術館に飾られるサモトラケのニケの翼のようだ」と例える人もいますが、大袈裟な表現ではないように思います。

この美しいデザインは、より美しい音を追求した結果、この形に収まったようです。

ストラトキャスターやレスポールがそうであったように、美しいものは黄金比率があるのか、スカイ・ギターもまた、1983年に製作された第一号のオリジナルデザインから、ほぼその基本的な形を変えることなく存在しています。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。スカイ・ギターは、どこまでも音の可能性を探求する仙人「ウリ・ジョン・ロート」の魂の結晶ともいえる芸術作品であることがお分かりいただけたでしょうか。

スカイ・ギターを手に入れる人はそう多くはないかもしれませんが、ウリの音楽への情熱と愛情の深さ、可能性を追い求めるその生き方にはロックを感じますね。

ギターを通して、その人の生き様が感じられる。素晴らしいギターとの出会いは、あなたの人生を素晴らしいものにするでしょう。

それでは、本日もよきギターライフを!

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