突然ですが、将来お子さまにはどのような習い事を習わせたい、或いは習ってほしいとお考えで
すか?
学習塾や英語、スポーツや習字、絵画などいろいろなお稽古ごとがありますが、今も昔も根強く
人気のある習い事といえばピアノ教室です。
以前から人気の大手音楽教室や個人のお家でレッスンされている教室に加え、昨今は幼稚園や保育園の中で希望者対象に行われているピアノ教室や、出張レッスン、オンラインレッスンなど形態も様々で、それぞれのご家庭のライフスタイルに合わせて、続けやすい形でのレッスンを選択できるようになりました。
スタイルに変化はあるものの、今も昔も変わらずに、習い事にピアノが選ばれる理由は何なのか。
いったいなぜ、親は子どもにピアノを習わせるのか。
様々な観点から考え、今、子どもにピアノを習わせようか迷っておられるお父様・お母様の、少しでもご参考になればと思います。
目次
ピアノが脳にいいって、本当?!
よく聞かれるのは「ピアノを習っているとボケないから」「ピアノは脳にいいから」という理由です。
一時期、ある脳科学者の先生が「ピアノは脳の発達にいい影響を与える」という旨を発言してからは、ますますそれが聞かれるようになりました。
楽譜を覚えること、それは脳の記憶力を司る海馬が働きます。
音符や指使い、リズムやテンポ、強弱や表現など、楽譜に書かれているさまざまな情報を読みとり、考えることは、思考力を司る前頭前野が刺激されます。
そしてそれらをすぐさま指先の運動へと連動させることは、脳の活性化へと繋がります。
また、芸術的感性、表現力や音楽性を身につけていくことは右脳が働き、音符を読む、指使いを正しく理解するなど、論理的な部分は左脳が働きます。
これらの働きは、右脳と左脳を繋ぐ脳粱という神経束を太くし、左右の脳をバランスよく発達させていきます。
このように、ピアノを演奏することは脳全体をまんべんなく使うことができ、また刺激され、脳の発
達を促していくことがわかっています。
運動機能も上がる!!
いい影響があるのは脳だけではありません。
ピアノの演奏は、両手バラバラな動きをする上に、ペダルも3本(機種によっては2本)あるため両足を同時に使うこともあります。
目は楽譜を追っていき、耳は自分の弾いた音を聴き、まさに全身を使って演奏します。
読み取った楽譜の情報を、瞬時に指先へと連動させることは瞬発力が、オクターブ以上など離れた鍵盤へ、指を的確に動かすことは反射神経が養われます。
また、リズム感は運動神経と深く関係しています。
例えばトランポリンや縄跳びなどは、身体を動かす「タイミング」がありますよね。
一定のリズムで跳び続けることも、リズム感に繋がっているのです。
座って弾いているので、一見運動とは関係ないと思われがちですが、脳を使い全身を使って演奏できるのはピアノならではです。
打楽器であり旋律楽器であり伴奏楽器であるピアノで、全身で音楽を感じてみてください。
ピアノが弾けるってかっこいい!!
「音符が読めるようになってほしい」「自分(親)が弾けないから弾けるようになってほしい」というお声もよく聞かれます。
学校の音楽の授業で、ある程度の知識は習うものの、大人になって音楽から離れてしまうと音符ってなかなか読めなくなってしまいますよね。
当時せっかく頑張って覚えたのに、今ではまったくわからない...子どもの音楽の宿題の質問に答えられない...
ピアノが弾けない人にとって、弾ける人ってかっこよく見えるんですよね。
日常生活の中でピアノを演奏する機会はそうたくさんあるわけではありませんが、何かの時にさらっと弾けると、かっこいいこと間違いなしです。
親の気持ち
「親である自分が習っていたから、子どもにも習わせたかった」のがきっかけである方も多いようです。
きっとお父様・お母様が、ピアノを習っていて楽しかった、役に立った、人生が充実したなど、プラスの作用があったからこそ、自分の子どもにも習わせたい!という気持ちがあったのですよね。
もちろん、きっかけとしては十分だと思いますし、お子さま自身もピアノに興味がありそう、音楽が好きそうなのであれば、なおさらです。
しかし、そうでない場合、親御さんの期待とお子さまの気持ちとの間に差が生まれてしまい、それはレベルが上がるにつれてどんどん大きくなってしまいます。
日々の練習を頑張るのは、親御さんでも誰でもなく、生徒である子ども本人です。
ピアノを習い始める時は、親御さんとお子さまの意識や気持ちを、確かめ合っておく必要があるかと思います。
それでも「お父さんが好きなあの曲を弾けるようになりたい!」「この曲、お母さんが好きな曲だ!」など、大好きなお父さん、お母さんのために弾けるようになりたい!と思うお子さまは多いようです。
親も一緒に楽しんで
...上と似た理由の1つに「家でよく弾いているので、習わせてみました」というお声もよく聞きます。
こちらについても、もちろんピアノを始めるきっかけとしては充分だと思います。
得意なこと、興味がある分野はどんどん伸ばしてあげたいですよね。
しかし、今までは少し曲を弾いただけで「すごい!上手ね!」と褒められていたのが、習い始めた途端に「もっと練習しなさい!」「課題の曲を練習しなさい!」と、怒られてしまうようでは、子どものやる気も下がってしまいます。
好きな曲を弾いて、気分がワクワクすることを覚えるのも大事な経験です。
時には厳しいお声かけが必要な時もあるかと思いますが、子どもがピアノを弾いている時は一緒に歌ってあげたり、褒めてあげたり、子どもがますますピアノを弾きたくなるような素敵なお声かけをしてあげてください。
一番大切にしたいのは、子どもの気持ち!!
「お友達がやってるから習いたい」「アニメのあの曲が弾けるようになりたい」など、やっぱり一番大切にしたいのは、子ども自身の「やってみたい!」「音楽が好き!」という純粋な気持ちです。
このような自発的な発言をするようになるのは、だいたい3~4歳頃。
ピアノを始めるにはちょうどいい年齢です。
ピアノのレッスンは、弾くことだけではありません。
導入の時期は特に、大きな音と小さな音を身体を使って表現したり、手やタンバリン、カスタネットなどの楽器を使ってリズム打ちをしたり、おうたを歌ったり、丸を描く練習をしてみたり、先生の演奏を聴いたり...
「ずっと座っていられるか不安で...」という親御さんのお声もお聞きしますが、心配ご無用です。
まずはもっともっと音楽を好きになってもらえるように、音楽を純粋に楽しんでもらえるようなレッスンをされている先生方が多いと思います。
お子さまが「習いたい!」「弾きたい!」「上手になりたい!」と思っている時が一番の伸び時期です。
ぜひ前向きに検討してあげてください。
ピアノはみんなで楽しむもの
いかがでしたでしょうか?
脳の発達への影響はもちろんのこと、日常に音楽があるって、ただそれだけで素敵です。
お友達の誕生日に「ハッピーバースデー」を弾いてみたり、家族のリクエストに応えて腕前を披露してみたり、悲しいことがあった時にはピアノを弾いて癒されたり、憧れの曲に挑戦してみたり...日々の生活が彩られることは間違いなしです。
夢中になってピアノを弾いている時間はあっという間に過ぎてしまいます。
一生もので、年齢による引退なんかもありません。
ご家族皆さんで、ピアノを、音楽を楽しんでみてはいかがでしょうか?